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ウォン・カーウァイ監督 スティーブン・ソダーバーグ監督 コン・リー チャン・チェン
 


まず始めに、説明をしておきたいことがあります。なぜアントニオーニ監督は今回別の二人の監督を見つけてきて、映画を作ろうと思ったのかといいますと、監督は今年92歳を迎えるほど高齢です。しかも、以前発作を起こした後遺症として、現在、言葉を話せないですし、体も動かすことができません。人とのコミュニケーションは、手で文字を書いて、自分の言葉を伝えていくという状況です。この高齢で、しかもこういった状況の中で、もう一度映画を撮ろうと思われたその勇気と熱情に、私たちは非常に感動しました。また、今回なぜテーマを、エロスにしたかといいますと、これはアントニオーニ監督が長年撮りたいと思っていた、人間の人生において、最も基本的なことだからです。この理由もあり、このプロジェクトのお話をいただいたとき、私は非常に感動を覚えました。そこで、私とソダーバーグ監督は喜んでこのプロジェクトに参加させていただいたのです。この『愛の神、エロス』は、私にとって確かに3人の監督によるトリロジー(3部作)ではあるのですが、本当はこの映画に関する成功と名声はすべてミケランジェロ・アントニオーニ監督に帰属すると思っています。

■何故、仕立て屋という職業を選ばれたのですか?

 仕立屋というのは非常に特殊な仕事だと思います。常に女性の体を良く知っていなければならないし、触れる機会も多いからです。この物語と結びつけると、どちらかというと女性の方から積極的にアプローチしますが、身分上、彼は彼女に触れられない。そこが一種の欲を掻き立てられるところであり、また何となく勘で分かっていくので、後々採寸をする時に彼女に触れる必要がないわけなんです。すると最後に触れるという展開が波紋を呼ぶことになるのです。

 よく皆さん言うのですが、旦那さんが奥さんの秘密を全部知っているのはもちろんですが、旦那さん以外にこの女性の秘密を知っている人が二人いると。一人は床屋でもう一人が仕立屋なんです。女性が美容院に行って、シャンプーして、ブローして、セットをすると、昔はだいたい2時間かかっていたのです。その2時間で色々な会話が生まれるので、そこで秘密を知るのです。もう一人は仕立屋です。つまり彼女の体を知っているわけです。時々プロポーションがあまり良くない人は、仕立屋がとても上手にその秘密を隠して綺麗に見せます。そういう意味で仕立屋は女性を良く知っているのです。

■チャン・チェン、コン・リーを起用された理由と、二人の魅力について教えてください。

 コン・リーにつきましては言うまでもなく、世界的にとても知名度も高い女優です。長年、彼女のことはよく知っていて、色んな機会で話をしてきました。この映画の中のホアという役は彼女にぴったりであるとずっと前から思っていたのです。彼女は非常に身長が高く、気が強い役にはぴったりなのですが、ところが今度は相手役を見つけるのがなかなか難しく、そこでこの身長の高いチャン・チェンという役者を起用しました。彼は、人と違った空気を持っているところが魅力です。しかし、彼は若い世代の俳優なので、この役で仕立屋の見習いの若い役から、その後少し年齢を重ねた役という二つのステージを演じるのは難しいかもしれないと思っていました。でも、彼はよくやってくれました。最近、彼は演技において色んな変化を成し遂げていて、私は彼は同年代の俳優の中でも本当にすばらしいと思います。

■この作品はミケランジェロ・アントニオーニ、スティーブン・ソダーバーグ、そしてあなたと、映画史上最も贅沢なコラボレーションということが話題になっていますが、他の二人の作品についてのご感想を教えてください。

 やはり、非常に面白いのは3人の監督が三つの異なった角度からこの「エロス」というテーマについて描いているところです。当然、三つのアプローチがあるわけで。私の目から見ると、アントニオーニのパートはどこか心に穴みたいものがあり、ソダーバーグは夢の世界を描いています、私は原題の「The Hand」とあるようにタッチそのものを描きました。

■監督にとっての‘エロス’とは?

 僕が考える‘エロス’とは単にセックスだけではなく、刺激的なだけではなく、むしろ味覚、テイストのようなものだと考えます。なので、言葉で描写することも出来、感じ取ることが出来るのだと思います。日本料理の刺身のようなものです。刺身とは何か?そして食べてみて、感じ取る。そういう意味合いに共通すると思います。

■日本の観客にメッセージをお願いします。

 私にとってこの「愛の神、エロス」は非常に興味深いプロジェクトであり、また、自分の作品に関してもとても自信を持っています。皆さん是非この映画を気に入っていただき、是非楽しんでください。